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2017年4月24日

可塑剤は値上げ浸透、電線も値戻し急務


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上げ幅km VVF2×8sqで1620円超
塩ビコンパウンドkg12~20円以上高騰

塩ビコンパウンドメーカー大手5社の値上げ打ち出しが、出揃った。電線ケーブル用塩ビ系コンパウンドの価格引き上げ幅は、kg当たり12円以上~20円以上。値上げ実施は4月3日~5月1日分からと1カ月弱開いたが、値上げ打ち出しで大手全社が揃ったことから5月の大型連休を挟み、電線メーカーなどの顧客とコンパウンドメーカーとの値上げへの綱引きは、山場を迎える。この情勢下、電線メーカーにとってはコンパウンド分がコストアップになるのは確かで、例えばkm当たり、VVF2×8sqで1千620円~2千700円以上の価格転嫁が求められる。


トップインタビュー 泉州電業 西村元秀社長

FA/ロボットケーブルは好調 通期 増収増益見込む
商材増やし客数(3500社)を一層拡大

泉州電業の西村元秀社長は、17FY下期の建販需要増への期待と銅価回復、FA/ロボット電線(直需)市場の好調で「17年10月期通期連結業績見通しは(増収増益)計画通り推移している。また、直需の需要増が売上高の底上げと増益に寄与する見通し」とした上で新商材を増やしたり、カタログ販売アットスカイ事業を活発に展開し「約3.5千社ある顧客数を増やし、1顧客当たりの受注増を図る」と述べた。一方、物流面では「埼玉や高松拠点等を移転し建屋を新築して倉庫拡張等を図る。また、21年中計(売上高1千億円、経常50億円)達成に向け子会社の収益基盤を強化する」と話した。


そこが聞きたい ビックケミー・J 小川康治部長

焼付用ワニス 世界シェア50%
売上高の60%は小口客

巻線用ワニス世界No.1の独・ALTANA(アルタナ)グループ日本法人ビックケミー・ジャパンエランタス事業部の小川康治部長は、「エランタスの17FY連結売上高は540億円で前年比2%ほど減少したが、何とかシェアは横ばいを維持した。焼付用ワニスは、売上高が300億円超で事業部売上高の約60%を占め、世界シェアは50%。当社は世界7か国、12拠点で製造し為替が変動しても、収益を確保できる態勢にある。具体的な海外生産拠点は中国・東南アジア・インド・欧州・北米・南米等に構え、地産地消に適応し価格競争力も構えた。当社の顧客トップ10を合わせても売上高の30%で、60%は小口顧客のため経営基盤も強い」と語った。


関東電販 16年度組合員業態調査アンケート

海外品、6割以上が脅威
過剰な価格競争への懸念

関東電線販売業協同組合は、16年度組合業態調査アンケート(8月実施、会員数33社で回収率100%)をまとめた。6割以上の企業が、海外品の日本進出を脅威に感じており、過当な価格競争に陥る恐れがあると回答した。一方で、今後の海外品の取り扱いを63.6%の企業が検討する、または既に取り扱っているとし、その影響の大きさも浮き彫りとなった。
関東電販のアンケートによると、海外メーカー品の日本への進出を脅威に思うかという設問には、33社中21社(63.6%)が「思う」と答え、「思わない」7社(21.2%)、「無回答」5社(15.2%)を大きく上回った。脅威と感じる実例や理由(複数回答)については、「思う」と答えた企業21社のうち18社が「価格競争」への懸念を指摘。さらに6社が「価格のみが一人歩きし影響が出てくる」、それぞれ3社が「価格低下」・「価格破壊」と答え、多くの企業が価格への影響に言及した。そのほかでは、韓国製や中国製、欧州製電線のシェア拡大などが挙がり、中には特定のドイツ企業に「大分シェアを取られている」とした回答もあった。
一方、脅威と思わない理由は、「海外品でもいいものは取り入れる」という回答がもっとも多く7社中6社。同時に「日本流のデリバリーはまねできない」(3社)、「納期、ロット管理、品質保証に自信あり」(2社)、「品質の高い日本製ゆえ心配していない」(1社)など、サービスやクオリティ面に言及する声も数多く集まったが、「現在、我々の顧客に海外品の影響はほとんどない」とした企業は1社のみで、脅威とは感じないまでも、海外品による影響の大きさも浮き彫りとなった。


16年度電線出荷 電工会調べ 統計は67.98万t、2.8%減

建販32万t(5.1%減)、自動車やや増加

日本電線工業会がまとめた17年度(4~2月実績、3月推定)の銅電線主要7部門別推定出荷数量は、建設電販部門が2年連続で前年を割り込んだほか、自動車とその他内需を除き7部門中5部門が減少し、総量は67万9千820トン前年度2.8%減と2連続で前年度を下回った。直近では09年度に次ぐ、低さとなった。
首都圏では様々な都市再開発プロジェクトや駅舎のリニューアル、東京五輪関連の施設建設等の計画は目白押しにあるものの、人手不足等で工期が遅れる障害が発生するなど建設電販分野の需要が、伸び悩んだのが最も大きなマイナス要因になった。業界では下期以降、本格的な需要増に期待を寄せている。
部門別出荷をみるとプラスグループは、自動車とその他内需の2部門。自動車は最近、生産台数が戻り10カ月続伸が牽引し、同5.3%増と順当だった。
その他内需は、ここにきて国内設備投資がやや回復し同8.9%増え、ベースは低いが最も伸びが高い。




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