中堅電線6社23FY通期業績
需給逼迫の電線市場で売上は増加
中堅電線メーカー6社の23年度通期業績(一部2月期通期あるいは24暦年第1四半期業績)が出揃った。その内訳は、増収増益1社、増収減益4社、減収減益1社となった。6社中5社が増収となる一方で、利益面では6社中5社が減益という結果となった。材料費の高騰などが損益を圧迫したが、価格改定に成功したメーカーは、大幅な増益となった。高圧ケーブルを中心に電線市場の需給が逼迫し、売上を伸ばしたメーカーもある。
CEOは、太陽ケーブルテックの谷口直純代表取締役会長
太陽ケーブルテックは23年6月1日に米国に現地法人を設立し、24年4月1日からカリフォルニア州を所在地とし、電線および電線加工品を販売開始した。新会社の社名は「Taiyo Cabletec America, Inc.」で、世界最大の市場である米国へ本格参入し、FAケーブル、ロボットケーブルの現地販売拡大を目指す。また、同社は4月1日から、高柔軟の絶縁電線「1000V RFX-MTW」と「1000V RFX-SB」を発売開始した。
電力ケーブルの活線診断、世界30カ国以上で展開
雷防護事業、情報通信関連事業、エネルギー関連事業を展開し、特に、雷防護と情報通信関連を得意とするサンコーシヤ。同社は19年から、電力ケーブルの活線診断を開始している。スペインメーカーの測定器であるため、現在は海外での導入比率が高いとしながらも、「コンパクトで安価なテスターの要望やAI化や故障予測」を開発テーマに掲げる同社商品開発部の草薙亘技師に、導入実績や部分放電のリスクを聞いた。
西村元秀理事長が留任
関西電線販売業協同組合の第49回通常総会が16日、スイスホテル南海大阪で開催された。今年度は役員改選期にあたり、総会では西村元秀氏(泉州電業社長)の理事長留任をはじめ、伊津元博氏(イズマサ社長)、小川宏一氏(光昭社長)、大川弘人氏(大川電商社長)の副理事長留任がそれぞれ発表された。さらに、有本典広氏(協電社長)が副理事長に、水野元氏(東洋電材社長)が理事に新たに選任された。
3月分合計5.3万d、前年同月比4.7%減
日本電線工業会がまとめた銅電線主要7部門別出荷数量の24年3月分実績および4月分推定によれば、3月分実績は合計5万2千665d(前年同月比4.7%減)で4カ月連続ぶりにマイナスとなった。部門別では、通信と電力などを除く4部門がマイナスとなった。また、金額では銅価が史上最高値を更新し続けた影響から、1千502億2千万円(同1.3%増)で37カ月連続増となった。
AI搭載で低損失を実現
住友電工は、多心光ファイバ融着接続機TYPE-72M+シリーズを、5月から販売開始すると発表した。同シリーズは、同社特許出願のAI融着技術「Nano Tune」を搭載しており、セットファイバの端面を解析し、異常検出時でも自動的に最適な融着接続条件をAIが設定する。従来機種では接続できなかった良好ではないファイバ端面でも、低損失/高品質な融着接続が可能になり、再接続回数を低減する。
Beyond5G/6G向けに導入予定
古河電工は20日、低誘電材料「Smart Cellular Board(SCB)」を開発したと発表した。SCBは、微細発泡により比誘電率(Dk)と誘電正接(Df)の軽量化を実現した板状の低誘電材料。エンジニアリングプラスチックやスーパー・エンジニアリングプラスチックなどの耐熱性が高い樹脂に気泡を生成することで、もともと低誘電な様々な樹脂をさらに低誘電化できる。また、発泡により材料の密度が低下するため、基地局部材の軽量化にも貢献する。